築11年マンションの「健康診断」現場で、スマートサーブの可能性をみてきた

スマートライフ 2016年03月08日

築11年マンションの「健康診断」現場で、スマートサーブの可能性をみてきた

スマートサーブは「ストック住宅(※)市場を活性化する取り組み」に参加しています。取り組み開始時スマートサーブFacebookページではご紹介しましたが、スマートサーブ(ニフティ)と構造計画研究所、東京大学の3者共同で事業を開発中です。

ストック住宅市場において、
1.現場で実施された、インスペクション(住宅診断)の結果情報
2.宅内にセンサーを設置し、住んでいる方が特に手を動かさずとも自動的に生成される住空間情報(2015年度は室温と湿度)
これらの情報をクラウド上に構築した「住宅情報基盤」に蓄積し、様々なサービスで活用することによって、ストック住宅の維持・向上や、住宅に関連する事業者と消費者のマッチング機会を創出していくという取り組みです。

※現存するすべての住宅のこと


実証実験の紹介資料より

近年国内の中古住宅の売買が増えてきて、住宅の状態を把握するための「住宅診断(インスペクション)」、人間でいえば健康状態を知るための健康診断のような検査、の実施が増えています。

築年数は同じでも、手入れや経年劣化の状況によって建物の状態や品質に差が出て、物件ごとに状況が異なるのが中古住宅です。中古住宅売買の際に売り手側がインスペクションを実施し、買い手はインスペクション結果をみて、物件の状態や品質を把握した上で購入する、という状況ができつつあります。

築100年の住宅が取引の対象になるヨーロッパやアメリカなどの不動産取引では、インスペクションは必須で当たり前の存在のようです。一方日本では、「既存住宅インスペクション・ガイドライン」というルールが2013年6月に策定されたばかり。それ以前にもインスペクションはあったそうですが検査項目や検査結果にバラつきがあったようで、基準に沿った運用がはじまってまだ日が浅い状況と言えます。

インスペクションを受けた結果は報告書としてまとめるのが決まりですが、報告書は現在紙ベースで作られ各インスペクション実施業者が保管していて、まとまった「データ」としては存在していません。

インスペクション情報をまとまった形で見せることができれば、物件の比較検討も容易になり購入しやすくなるのではないか。中古住宅の売買が活発になれば「いいものをきちんと手入れして、長く使う」社会が実現し、空き家も減るのではないか……。

ということで現在、中古住宅市場の活性化を目指して、実証実験をしています。


インスペクションの結果報告書をスマホで確認できるようにする取り組み

インスペクション見学

前置きが長くなりましたが……、

家を買うとしてもだいたいの人は人生で1度か2度くらいですよね?新築を買った人だったら「インスペクション」は未体験ですね?きっとみなさんも「インスペクション」に関心がありますよね!ということで、インスペクション現場におじゃましてきました!!


実証実験モニター参加者にお送りする書類

今回おじゃましたのは築11年のマンション。検査をするのは資格を持った専門家。 「中古住宅を売ろうとする人がその家の価値を専門家にみてもらう」というシチュエーションの実験ではありますが、検査する人は有資格者の本物で、検査も本物です。


インスペクター(家の診断をする人)、「既存住宅現況検査技術者」の大坂さん

大坂さんに検査開始前、インスペクションとはどんな検査なのかを伺いました。

「目視でみられる範囲で行う基礎的な検査です。ひび割れや、傾き、雨漏りした跡があるとか、シロアリがいた跡があるかなど、変状の有無を把握するのが目的です」

「検査項目は、戸建て、木造の一戸建てをメインに考えられています。外壁まわりとか基礎まわりとかも見ます。マンションだと、主に専有部分をみる検査になりますのでみる範囲は戸建てに比べて少なくなります」

検査時間は、規模にもよりますが、戸建てだと2時間程度、マンションだと1時間程度とのこと。

「都内の住宅だと30坪以内が多いのですが、地方にいくと70坪くらいが普通にありますから、家の大きさによって時間も変わってきますね」


大坂さんが持参した脚立と道具少々

マンションでは検査できる箇所が少ないことを理解しました。では、ベランダの検査から見学開始です。

家の外をチェック

目視、と聞いていたけれど、軽く触っています

「バルコニーの部材にぐらつきがないかを見ています」


確認箇所をスマホで撮影

「検査した箇所を撮っています。問題ありませんでしたよって。不具合があれば不具合の箇所を撮ります」


外壁にひび割れ等があるかどうかをクラックスケールでみています

「幅0.5mm以上のヒビがあるかどうかをみます。最大幅で0.25mmなので、まったく問題ないですね。表面的なものです」


ふわっと。ふにっと。

家の住人はじめ、取材メンバーたちが最も興奮した検査箇所がこちら。

住人:わー、柔らかい!初めてさわった~~~!

大坂:シーリング材ですね。

住人:ここ(かたい外壁)と一緒かと思ってた!
パッキンみたいなものなんですねー!

大坂:そうです。

「壁やサッシのまわりのコーキングは触らないと劣化がわからないので、触ります」

「ゴム状のシーリング材になっていて、柔らかいから水とかが入らないんです。年数が経って古くなると硬くなってひび割れたりするんです。あとは縮むので隙間ができたりします。そうすると水が入ってきますね」


全部硬いようにみえるが、やわらかかったとは!

「木造だと『サイディング』という板状のつなぎ目にもシーリングが使われています。
サイディングのジョイントが劣化して雨漏りするというケースがあります」


触らせてもらったところ、本当に柔らかかったです


確認した内容をその場で記入していきます
(構造計画研究所が構築した、専用システムの入力画面)


他にも欠損(欠落している箇所)があるか、鉄筋のサビが出ていないか、古い建物だと施工不良で中の鉄筋が見える場合もあるのでそれがないか、をチェック。

外壁の傾きもチェックして、家の外の検査は終了!

家の中をチェック

家の中は、木造住宅では梁と柱をみます。極端に古いマンションだと、いろいろみるところがあるそうです。

「『梁をみる』項目ですが、壁紙が貼ってあるのでわからないんですよ。これは木造でも同じですね。昔の真壁(しんかべ)という、柱がみえている壁だと構造体がわかるのですが、いまどきのボードで囲ってしまっている大壁(おおかべ)だと中の構造体は見えないので、どうしても判断できる範囲が限られてしまいます」

「ひょっとしたら下ではひび割れがあるかもしれないけれども仕上げ材があるから確認できませんでした、という報告になります。それを調べるには壁を壊さないといけないのですが、この検査では行いません」

天井と壁をざっとみた後、基本の検査項目ではないオプション項目も実施していただきました。


床に傾斜があるかどうかをみる検査

「インスペクションは基本的に部屋の中が空の状態になったところで実施します。家具とかがあるとそこは動かさず検査を行いますが、大体の所は判断できます」


オプション用検査の道具

「『問題がある』状況だと、場合によっては1cm以上傾きがあるときもありますね。基準は1mで6mm傾いているか、でみます」

次は設備関連、配管と給水管です。水を透明の容器に入れて、白い壁をバックに人間の目で確認します。

築11年のマンションには鉄管は使われていないので「鉄錆」は出ないけれどチェック。
容器に入った水は透明でした。

浴室前の水道、台所の配管を確認して、トイレも水を流して確認。

最後に、お風呂場の天井裏を点検します。

「マンションに限らず、戸建てでも同じですね。
換気扇のダクトが外れてないか、不具合がないかどうかを見ます」


持参した脚立で登ります


中の様子、はやく見たい!


おぉ〜〜〜管がいっぱい!

これで基本の既存建物の現況検査が終わりました!


大坂さんが報告書を完成させれば、専用アプリですぐ報告書を確認できます!

「このシステム(インスペクターが利用するシステム)は、タブレットで写真をとり、システムにデータを入力すると、最終的にはPDFのフォーマットで報告書になる、という仕組みです」

「それまでは、現場で撮影してメモをとり、事務所に戻って改めてメモをみながら報告書を書き起こして写真も貼りつけるという作業をしていたので、すごく時間がかかっていました。このシステムを使うようになってからは、報告書づくりにかかる時間が大幅に短縮されましたね」




インスペクションの報告書をタブレットで完成させる仕組みを説明する大坂さん

報告書がデジタルデータ化されたので、インスペクションを依頼した側も、報告書をスマホでいつでも確認できるという仕組み。便利ですよね。

家を売りたい時だけでなく、人間の健康診断のように受けられるのか、聞いてみました。

「健康診断として、人間が受ける人間ドックという意味合いで、インスペクションを受けるというのもありですね。
築10年で実施してもまだ劣化していないと思うんですけれども、15年から20年たつと設備系や内装材に不具合が出てきたりしますね。そのタイミングで現況検査をして、その後は5年ごとに受けるとか。大きな地震があった直後などもトラブルがないかどうかをみてもらうといいと思います」

「自分(住まい手)で本当はこまめに見た方がいいんです。マンションなんかだと管理組合がやってくれますが、戸建てだと全部自分でやらなきゃいけないんです。外壁の塗装であれば10年や15年で塗替えなきゃいけないですし、お金がかかるんです」

15年から20年で1度、それ以降は5年ごとに専門家にみてもらい不具合がないかをチェックして、日頃から自分の目で建物や設備を気にする。日々メンテナンスをしていれば、扱い方も変わって結果として長持ちする家になりそうです。

スマートサーブでは、実験に参加されている方の住空間環境情報を収集し、その情報を基に暮らし方やメンテナンスの提案を行えるかどうかを検証しています。


実証実験の紹介資料より

日々の暮らしの中でスマートサーブがお役に立てるよう、実験は続きます。

インスペクション、やってみたくなった!という方は、「インスペクション」で検索すると、インスペクション業務をしているページがいろいろでてきます。大坂さんが登録されている住宅瑕疵担保責任保険協会にも技術者の一覧があります。

床下なども検査する木造のインスペクションも見たいですよね。また機会があったらレポートしたいと思います!

「家の健康管理」をサポート:@nifty
株式会社構造計画研究所
東京大学生産技術研究所野城研究室

編集部紹介
  • Mタル課長 Mタル課長企画部の課長でスマートサーブWebサイトの編集長。ネットオタクでガジェットオタクだが、実態は厨ニ病バンドマン。
  • よっしー よっしースマートサーブ担当なのにスマートじゃないので、ダイエット中です。好きな言葉は「世界最小・最軽量」。
  • しゅんさん しゅんさんPCや家電の扱いは、苦手です。説明書は読まない派です。
  • おすぎ おすぎ学生時代の体力維持のため水泳が日課。泳いだ後はおへやプラスを必ずチェックします。その後はスクワットです。
  • つっきー つっきー編集部で最年少の新入りです。しゅん先輩のもとで修行中です。ネコよりもイヌ派です。
  • ゼット ゼットガジェット好きです。最近の物色先はもっぱらkickstarterです。
  • よつば よつばスマートサーブ初心者。快適なスマートライフを実現して食材を無駄なく使いたいです。
  • みどり みどりスマートサーブ初心者その2です。 隣の席のよつばさんと一緒にスマートサーブについてお勉強していきたいです。

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